日本の土木において次世代に伝えるべき技术とは
- 东京都市大学
- 名誉教授
- 吉川 弘道
現在、全国の自治体においては、インフラの老朽化が深刻な社会課題になっているが、予算や人員不足もあり、なかなか改善が図られていないのが現実だ。国土交通省では、高度成長期以降に整備された道路、橋、トンネル、河川、下水道、港湾等について、今後20年で建設後50年以上経過する施設の割合が加速度的に高くなるため、老朽化するインフラを戦略的に維持管理?更新することを求めている。それでは、戦略的に維持管理?更新するためにはどうすれば良いのか。土木技術に詳しい、东京都市大学名誉教授の吉川弘道(よしかわ ひろみち)氏に聞いた。

(写真)东京都市大学名誉教授 吉川弘道氏
──最近はどの自治体でも、土木関连の人材不足が课题になっていますが、なかなか人材を採用できない理由は何だと思いますか?
吉川氏:送り出す侧の大学の人数は変わっていないと思いますが、自治体以外にもゼネコンや建设コンサルタントなどの採用も多く、人材の取り合いになっています。
民间は働き方改革や社内教育の充実を図っていますから、公务员の人気がなくなってきているようです。
自治体も「公务员/土木职」のような土木职や机械职の括りではなく、ドローンなど滨罢やデジタル技术を活用する领域もあるので、「地域インフラの企画?新设」、「地域インフラ管理」のような形で、幅広い学部から採用することを考えたほうが良いと思います。受け入れ侧が募集する际に门戸を広くし、それを学生に周知していくことが大事でしょう。
私は以前、国家公务员採用の试験専门委员を5年ほど勤めていましたが、土木职や建筑职の枠组みを変えることで、多彩な人材が応募したと闻いています。
また、単年度ごとの採用ではなく、5年计画で採用することや、すでに试みられていると思いますが、上水道や下水道など、复数の近隣自治体の连合组织で採用することも一案だと思います。
──自治体は人材や予算不足により、修缮を行ってインフラの寿命を延ばしていく方向になっています。道路、桥、トンネル、河川等において、不具合を早期に発见するためのポイントは何だと思いますか?
吉川氏:最近は、いろいろな劣化パターンが増えてきており、対応の判断がなかなかできず、闭锁や使用制限など、无难な方向で判断することが増え、危惧しています。まずは、「判断できる人材」を育成する事が重要だと思います。県や市によっては、保守点検も外注しているところがありますが、それだと、知见やスキルが贮まっていかないと思います。
大きな桥などは200年使う前提で予算が确保され、点検も进んでいます。こういった大きなものは别にして、小さな构造物はノウハウも大分蓄积されてきているので、勇気をもって、これまでの経験を基にマニュアルを作り、管理していくのが良いと思います。构造の规模/重要度/予算规模に分けて、具体的?実践的にマニュアル化することがポイントだと思います。
──最近は撮影した映像を解析したり、ドローンによる点検を行ったりするなど、构造物の保守?点検に新たな技术が导入されていますが、最近、注目している新技术はありますか?
吉川氏:私は50年间コンクリートの研究をやっていますので、3顿プリンティングに注目しています。3顿プリンティングは、コンクリートにおいては、第3の手法です。第1の手法は场所打ちコンクリート(建设现场でコンクリートを流す)、第2が工场で作成したコンクリートの部材を现场で组み立てるプレキャストコンクリートです。3顿プリンティングにより、自由度が出て、アーキテクトやさまざまな造形物を作成できるようになったため、いろいろな人が参入できるようになったと思います。今后、新しい製造方法が登场することで、土木の発展に寄与してほしいと思っています。
このような新しい技术に関しては、国土交通省主导で特许や実施例などを、新技术の厂狈厂といった形で情报公开してほしいと思っています。
──コンクリートの寿命を延ばすポイントがあれば教えてください。
吉川氏:コンクリート构造物の劣化原因の多くは、配合や养生、打ち込み时の欠陥であることが実践例で报告されており、原因は、ほぼ分かっています。
鉄筋コンクリートやプレストレストコンクリートの劣化も、これまでの情报の蓄积がありますから、原因はわかっています。メンテナンス问题も含めて、予算不足やエンジニアがいないことが要因になっていると考えられるため、ゼネコン、建设コンサルタント、専门会社、ベンチャーなどで、劣化の现状と原因についての事例集のような奥贰叠サイトや厂狈厂があると良いと思います。
また、国土交通省、土木学会、コンクリート工学会、地盘工学会、日本建筑学会などとの、横の繋がり组织を作ることも提案したいです。
──先生は2023年に「DISCOVER DOBOKU」という本を出版し、次世代に伝えたい建造物を紹介していますが、特に次世代に伝えたい建造物を教えてください。
吉川氏:この本は、土木建造物を「1年365日闭店のない施设」と考え、「土木インフラ100年时代」の象徴として物语にしています。
次世代に伝えたい建造物の1つ目は、表纸の写真にもなっている首都圏外郭放水路です。これは大容量の地下贮水池ですが、まずは、このようなビッグプロジェクトを完遂した方々に敬意を表したいと思います。首都圏外郭放水路は水文学?水理学、统计学、构造工学、耐震设计、施工法を统合したもので、これこそが総合工学と呼ばれる土木工学、シビルエンジニアリングの真骨顶です。地下にこれだけの大容量のものを作ったこと、しかも自然流化(重力によって液体や物质が外部の力を借りずに自然に流れる)であることが素晴らしいと思います。贮まった水は最后に、ポンプで汲み出しますが、1秒间に200立方メートルの水を排水できます。これには、ジェットエンジンが使われているという话です。
ほかには、都市トンネル建设技术の王者シールド工法や曲线美の美しさを次世代に伝えたいと思っています。土木は曲线や曲面が得意です。土木建筑の建造物は、曲线と曲面がかなり多いですが、気に留める人は少ないです。别の见方をすると、「合理的に设计された构造物は、美しくさも优れている」ことをこの本で例証しました。単に见ているだけで何か感じられるものがあり、土木インフラとしても机能している(人类に役立っている)というのは、惊くべきことだと思います。

(図1)「DISCOVER DOBOKU 土木が好きになる22の物語」(平凡社)。
この本は、2024年土木学会出版文化赏を受赏している。
表纸の写真は首都圏外郭放水路の内部。
──社会基盤施設を形成する土木構造物の画像と情報のポータルサイト「土木ウォッチング」や「Discover Doboku -日本の土木再発見-」というSNSを運用するなど、エンジニアリング教育に力を入れる理由は何でしょうか?
吉川氏:「エンジニアリング教育」が結局のところ私のライフワークになっています。土木工学科においては、エンジニアリング教育が基本ですが、大学院/学科の先生の中には専門の研究に専念している方もいらっしゃいます。これは私自身も反省していますが、社会人教育は、大学教員が「出来ること」ではなく、「やらなければいけないこと」だと考えています。大学/ 高専の学生や先生方とも協力したいのですが、なかなか機会がなく、結局、出版という形が、私にとって実現しやすい手法となっています。「次世代に土木の意義とダイナミズムを伝える」ことを最終目標としています。

(図2)「Discover Doboku -日本の土木再発見-」。
このサイトは2019年 に、土木学会土木広報大賞 準優秀部門賞(イベント部門)を受賞している。
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